あの学校の制服が可愛い。
ブレザーより学ランの方がおしゃれ!
そんなことを思いながら学生生活を送り、制服に袖を通した思い出が誰しもあるのではないでしょうか。
学生服はちょっとした特別感と学校ごとの統一感でどことなくワクワクした印象をもったことを筆者も記憶しています。
しかし、そんな学生の制服が一部のLGBTQ+にとっては違和感や不快感に繋がっていることをご存知でしょうか?
こちらの記事では多様性の社会における学生の制服問題について解説します。
こちらを読んでいただき、これからの時代の制服について共に考えを巡らせてもらえればと思います。
課題:制服と性別が結びついている
「制服に自分を否定される苦しみを知ってほしい」
2021年、制服の存在に苦しんだトランスジェンダーの大学生が賛同者を集め、東京都の教育委員会に見直しを求める申し入れを提出しました。
こちらはオンラインで署名活動をしており、1年間で1万1500人以上の人が賛同をしました。
こういった勇気ある行動により、昨今では「多様性に対応する制服の在り方」が問われるようになり、現状の[男女という性別によって固定化された制服]が全国的に見直されつつあります。
男は男らしく、女は女らしく。
ではなく
全ての人たちが自分らしく。
それがこれからの社会の目指すべき方向ではありますが、学校の制服にはかつての慣習からか、いまだにこういった性差と区分けがなされてしまっているのです。
解決策:制服の選択肢を増やす
そういった現状を解決するために、制服の選択肢を増やすことが求められます。
女性はスカート、男性はスラックスといったように性別でアイテムを絞らず、いかなるSOGIでも選択できる幅を持たせることが必要です。
ネクタイやシャツなども性差を感じさせないデザインにするとよいでしょう。
また、表記や呼称も男子用・女子用とせずに、I型II型のように性別で分けない工夫が必要です。
そうすることで学生たちは自由な組み合わせを選択できるようになり、自分の着たいような制服にアレンジすることができます。
ただ、あまりにもジェンダーレス・ユニセックスなデザインに偏ってしまうと、LGBTQ+当事者の生徒たちが「ありがた迷惑」「恩着せがましい」などと感じてしまうというケースもあるようです。
あくまでも大切なことは「選択は自由である」ということです。
そして学校側は生徒に選択の余地を作ってあげることが重要です。
現状:約6割の学校が服装の配慮を導入・検討中
多くの学校の制服を製造・販売している、菅公学生服株式会社による2021年6月の全国の学校を対象にした調査レポートによると
・服装による配慮をしている 39.3%
・今はまだしていないが今後予定してい 20.3%
という結果になり6割近い学校が制服の配慮を導入・検討しているようです。
上記の「配慮」の中身はというと
・女子のスラックス制服の採用 50.1%
・スカート・スラックス・リボン・ネクタイなど男女関係なく自由選択 36.0%
・男女共通デザインのブレザーの採用 35.4%
などがあげられています。
少しずつ制服問題を解消しようとする動きは見られていますが、裏を返せば半数近い学校が制服の配慮に関して導入も検討もしていないといえます。
時代が変わりつつある過渡期と言えますが、まだ多くの課題が残っていることは一人一人が自覚的でないといけません。
まとめ
LGBTQ+の当事者は人口の約8〜10%程度、つまりは11人に1人の割合でいると言われています。
一般的な学級である30人前後のクラスだと、2人〜3人は当事者がいると考えられます。
そんな当事者の学生が思春期の多感な時期に学校という組織の中で性差を刷り込まれる機会も多く、大きなストレスに日々直面しており不登校になってしまうケースも少なくありません。
制服の制限によるストレスを軽減するのはもちろんのこと、あらゆる面から想像力を働かせて、全ての人が自分らしく生きられる環境作りをともに考えていきましょう。