LGBTQ+への理解は、ネットで検索をしたり実際に当事者から話を聞いたりすることで深められます。
それのみならず、映画やドラマといったエンターテイメントの中にも真摯にLGBTQ+と向き合った作品が数多くあります。
その中で今回は「小説」に注目してみたいと思います。
「小説」は作家の人生観や人間観が色濃く反映されます。
きっとLGBTQ+に関する知識・理解を深める一助となりますので、じっくりと読んでみて下さい。
1.『キッチン』/吉本ばなな
1作目は吉本ばななさんのベストセラー『キッチン』です。
吉本ばななさんの文体はとても優しく読者と寄り添ってくれます。
読書に不慣れな人でも入りやすい作家と言えるでしょう。
家族を失った主人公のみかげは同じ大学の学生、雄一の家で暮らすことになります。雄一の母はトランスジェンダーであり、ゲイバーを経営しています。
みかげは2人と暮らしながらも、身内の死、人の在り方と向き合っていきます。
この作品は1989年と1997年に2度の映画化もされています。
世界中で翻訳されており、すぐに読める作品であり、かつとても面白いのでオススメです。
2.『仮面の告白』/三島由紀夫
言わずと知れた有名作家、三島由紀夫の初期の代表作です。
三島由紀夫は折に触れて作品の中に性的マイノリティの人達やその描写を書き下ろしています。
その中の1つが『仮面の告白』です。
「私」と名乗る少年が逞しい男性に愛情を抱く葛藤や苦悩が描かれています。
この作品が発表されたのは1949年。
当時の日本においてLGBTQ+に対する理解は全く進んでおらず、この作品が世間に与えた衝撃は大きかったでしょう。
3.『片思い』/東野圭吾
現代日本を代表する作家東野圭吾。
「ガリレオシリーズ」や『秘密』『白夜行』などで有名ですが、 LGBTQ+を扱う作品が今作『片思い』です。
主人公の哲郎は学生時代に所属していたアメフト部のマネージャーだった理沙子と結婚生活を送っていました。
そんな中、かつての女子マネージャーの1人、美月と再会。美月は自身がトランスジェンダーであることをカミングアウトします。
そしてさらにもう1つ大きな秘密を打ち明けます…。
東野圭吾の文体はとても分かりやすく読みやすいので、活字に慣れていない人でも気軽に読むことができます。
トランスジェンダー、カミングアウト、夫婦の在り方を考えさせてくれる良作です。
4.『ナチュラル・ウーマン』/松浦 理英子
松浦理英子自身が「傑作」「間違いなく何物かである小説」と言っており、批評家からの評価も高い作品です。
内容は漫画家の容子、その恋人の花世、そして夕記子、由梨子の恋愛物語です。
繋がりがありながらも1つ1つの物語で完結する短編集です。
今作も1994年と2010年に映画化がされています。
LGBTQ+を扱う小説といえばこの作品を挙げる人も多いようです。
5.『リリース』/古谷田奈月
最後の作品は一風変わった切り口の作品です。
女性首相政権のもと、男女同権が実現し同性愛が一般的になった社会。
その中で異性愛者の学生がテロを起こし精子バンクを占拠します。そのテロ事件があらゆる人々の価値観を揺さぶり、人生を動かしていきます。
現代社会においては異性愛者がマジョリティであり、同性愛者がマイノリティです。
この小説の中では同性愛がマジョリティであり、異性愛がマイノリティに逆転しています。
視座が変わることにより、見えてくる差別や偏見の新しい側面。そして人間の多面性。
2016年に出版された衝撃の傑作なので、是非とも読んでみて下さい!
まとめ
以上は筆者が独断と偏見で選んだ小説たちです。
どれも優れた作品ではありますが、これら以外にもLGBTQ+を扱った作品は数多くあります。
是非とも1冊手に取ってご覧になって下さい。
あらゆる人達が自分に正直にお互いに理解の深め合える社会になるよう願います。