ここ数年「LGBTQ+」「性的マイノリティ」「ダイバーシティ」といった言葉をよく見聞きするようになってきました。
多様性の時代に向けた社会の理解は少しずつ進んできましたが、まだ多くの課題があるのが日本の現状です。
特に企業においては解決すべき問題・課題が山積みです。
今回こちらの記事では、企業におけるLGBTQ+当事者が抱える問題や困難を知って頂き、そのうえでLGBTQ+にフレンドリーな企業にするための取り組みまで解説します。
こちらを読んで、今の職場環境を顧みてより良い環境を作るための行動を考えましょう。
LGBTQ+当事者が企業内で抱える問題・困難
日本の企業は海外諸国に比べて、LGBTQ+に対する理解が低く、満足のいく待遇を与えられていないのが現状です。
海外は8割以上の企業がLGBTQ+に対する人権尊重・差別禁止の方針を定めているのに対し、日本では2割程度しか規程を定めていません。
当事者は会社内で肩身の狭い思いをしていることも多く、職場に自身のSOGIをカミングアウトしているLGBTQ+当事者は1割程度しかいないというデータもあります。
また、LGBTQ+の当事者が職場で直面した問題として
・性的マイノリティについて偏見に基づく差別的な言動を見聞きした
・社内制度や職場の慣行が性的マイノリティに配慮されていない
・プライベートな話ができない
・性的マイノリティではないものとして振る舞わなければならない
などが報告されております。
こういった企業側の知識や理解の不足は全くもって前時代的であり、早急に改善をしていくべきです。
すべての従業員が自分の能力を最大限に発揮して働ける環境作りが必要です。
LGBTQ+フレンドリーな企業にするための取り組みとは?
さて、そういった現状を打破するべくどういった取り組みを行えばよろしいでしょうか。
実は、そちらの指針は厚生労働省が発行している「多様な人材が活躍できる職場環境づくりに向けて〜性的マイノリティに関する企業の取り組み事例のご案内〜」というレジュメにまとめられております。
今回はそちらを参考に、進めるべき企業の取り組みを簡単に解説しましょう。
1: 方針の策定・周知や推進体制づくり
企業行動憲章や就業規則などを見直し、性的指向や性自認に関する差別を禁止したり、広報などと協力して企業内でそのような取り組みをしていることを社員に周知することなどが考えられます。
また、定期的に無記名のアンケートなどを実施して意識調査や問題解決に向けた行動をとることもよいでしょう。
2 :研修・周知啓発などによる理解の増進
LGBTQ+当事者が働きやすい環境にするには、社員1人1人が正しい知識と多様性を認める精神性が必要です。
そのためには研修は効果的と言えます。
新人研修はもちろんのこと、年齢層が比較的高い管理職向けの研修をしてトップの人間が意識を高く持つことが大切です。
3 :相談体制の整備
社内に相談窓口を作ることももちろん大切ですが、定期的に当事者団体の代表者や相談員に来社してもらい、社員が相談しやすい環境を作ることが必要でしょう。
4 :採用・雇用管理における取り組み
社員の採用において、入社希望者のSOGIによって審査が左右されることは絶対にあってはなりません。
全ての人が公正に審査されるような仕組み作りが必要です。
就業規則や面接ガイドラインなどで、公正な採用や雇用管理ができるような規則を明文化すると分かりやすいでしょう。
5 :福利厚生における取り組み
同性婚が認められていない日本において、福利厚生の面でLGBTQ+当事者は不公平な扱いを受けてしまっています。
企業としては、異性同士の婚姻関係と同様の扱いをするように制度化したり、当事者にどのような制度が必要であるかをヒアリングしたりと、あらゆる努力が必要でしょう。
また、福利厚生制度を利用する際に本人が意図しないカミングアウト(アウティング)が起こらないような仕組み作りも必要です。
6 :トランスジェンダーの社員が働きやすい職場環境の整備
服装、トイレの利用、健康診断など企業で働くうえでも性別を意識させてしまう場面はいくつもあります。
そういった点を発見したら、トランスジェンダーの社員が自由に選択をできる幅を持たせることが必要でしょう。
7: 職場における支援ネットワークづくり
Allyの社員に「アライシール」を配布したり、企業全体でLGBTQ+のイベントに参加をしたりすることで、支援の輪を広げていく意識が大切です。
性的マイノリティの人たちが安心して社会生活を送れる基盤を企業全体で作っていく努力をしていくべきでしょう。
参照:厚生労働省「多様な人材が活躍できる職場環境づくりに向けて〜性的マイノリティに関する企業の取り組み事例のご案内〜」
https://www.mhlw.go.jp/content/000808159.pdf
まとめ
まだまだ現状では日本の社会はLGBTQ+当事者にとって生きやすい環境とは言えません。
今回紹介した取り組みを参考にして、小さな一歩を着実に積み重ねていきましょう。
そうすることで、LGBTQ+当事者にとって居心地の良い職場環境を作ることができ、全ての従業員が自身の能力をいかんなく発揮できる企業にすることができるのではないでしょうか。